仮想通貨で損失が出た時の税金|損益通算・繰越はできる?

仮想通貨で損失が出た時の税金と損益通算の基本

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仮想通貨で負けてしまった年、その損は税金で何か取り戻せないのかな。そう考える方も多いはずです。

結論から言うと、同じ年の仮想通貨の利益とは相殺できますが、給与や株・FXの利益とは相殺できません。翌年以後に損を持ち越すことも、今の制度ではできないんです。

この記事を読めば、損した時に税金がどうなるか、確定申告が要るかどうかが分かります。

目次

仮想通貨で損した時の税金はどうなる?

2026年10月時点の法令・国税庁の公表資料をもとにまとめています。

仮想通貨(暗号資産)の損益は、原則として「雑所得」として扱われます。雑所得は、給与などほかの所得と合計して税額を決める総合課税の所得です。

ただ、雑所得の損失には大きな弱点があります。ほかの区分の所得と差し引きする「損益通算」ができないんです。

損した時のルールの結論
  • 同じ年の仮想通貨の利益と損失は、合計して所得を計算できる
  • 仮想通貨の損失を、給与所得や株・FXの利益から差し引くことはできない
  • 今の制度では、損失を翌年以後に持ち越すことはできない
  • 含み損は、売るまで税金の計算に入らない
やりたいことできる?
ビットコインの損とイーサリアムの利益を同じ年で相殺できる(同じ年の仮想通貨の所得として合計)
仮想通貨の損で給与の税金を減らすできない
仮想通貨の損と株・FXの利益を相殺できない
今年の損を来年の利益と相殺できない(今の制度)
持っているだけの含み損で利益を減らすできない(売るまで確定しない)

『損をしたうえに、税金でも助けてもらえないの?』と感じますよね。残念ですが、今の制度ではそういう仕組みになっています。

仮想通貨の税金の全体像は 仮想通貨の税金とは?仕組み・税率・申告までの全体像 で確認できます。

含み損・元本割れだけでは税金は変わらない

仮想通貨の税金は、売ったり交換したりして損益が確定した時に計算します。値下がりして含み損を抱えているだけでは、損失として扱われません。

例えば、100万円で買ったビットコインが60万円に下がったとします。持ち続けている限り、40万円の含み損は税金の計算に入らないんです。

逆に言えば、元本割れしていても、売らなければ税金はかかりません。損が確定するのは、売却や他の仮想通貨との交換、買い物に使った時です。

交換や買い物でも損益は確定する

仮想通貨同士の交換や、仮想通貨での買い物は、手放した仮想通貨を売ったのと同じ扱いです。値下がりした仮想通貨を別の銘柄に替えた場合も、そこで損失が確定します。

いつ損益が確定するかは 仮想通貨の税金がかかるタイミング で詳しく解説しています。

同じ年の仮想通貨の利益と損失は相殺できる

仮想通貨の所得は、1月1日から12月31日までの1年分をまとめて計算します。銘柄ごとに損益を出し、それを合計したものがその年の所得です。

そのため、ある銘柄で損をして、別の銘柄で利益が出た場合は、差し引きした金額が所得になります。

計算例:利益80万円と損失50万円の場合

前提は、給与の課税所得が400万円の会社員です。各種控除は利益が増えても変わらないものとし、所得税に復興特別所得税2.1%を上乗せし、住民税は利益×10%で計算した概算です。Pythonで検算しています。

ケース仮想通貨の所得増える税金の目安
ビットコインの利益80万円だけ80万円約24万3,000円
ビットコインの利益80万円+イーサリアムの損失50万円30万円約9万1,000円

同じ年のうちに損失が確定していれば、税金は15万円ほど少なくなる計算です。

同じ年の仮想通貨の利益と損失を合計して所得を出す流れを示した図解

損切りは「年内に確定させる」のがポイント

『今年は利益が出たから、含み損の銘柄を損切りしたら税金が減る?』と考える方もいますよね。同じ年のうちに売って損失を確定させれば、その年の所得は減ります。

ただし、12月31日を過ぎると翌年の損益になります。損失は持ち越せないので、今年の利益と相殺したいなら年内に確定させる必要があるんです。

「年が明けてから損切りしても、去年の利益と相殺できるよね?」
「いいえ、年が変わると別の年の計算になってしまうんです」

もちろん、税金のためだけに売るかどうかは、相場の見通しも含めて自分で判断してみてください。年をまたぐ取引の扱いは 仮想通貨の税金の期間と年またぎ で解説しています。

給与・株・FXとは損益通算できない

損益通算とは、ある所得の赤字をほかの所得の黒字から差し引くことです。所得税で損益通算できるのは、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の損失だけと決まっています。

仮想通貨の損失は雑所得なので、この中に入りません。

仮想通貨の損失で損益通算や繰越ができるかを比べた図解
相手の所得仮想通貨の損失と相殺できる?理由
給与所得できない雑所得の損失は損益通算の対象外
上場株式の譲渡益できない株は申告分離課税で別に計算する
FX(外国為替証拠金取引)の利益できないFXは先物取引に係る雑所得等として別に計算する
同じ年の仮想通貨の利益できる同じ仮想通貨の所得として合計する

仮想通貨FXやレバレッジ取引の損益も、FXと違って申告分離課税の対象ではありません。総合課税の雑所得として扱われるので、株やFXの利益とは相殺できないんです。

株やFXとの違いをもっと詳しく知りたい方は 仮想通貨と株・FXの税金の違い を見てみてください。

副業の雑所得との相殺は確認を

同じ雑所得の中で、仮想通貨の損失と副業など他の雑所得の利益を合算できるかは、国税庁のFAQに明記がありません。迷う場合は税務署か税理士に確認してから申告しましょう。

損失の繰越は今の制度ではできない

株やFXには、使い切れなかった損失を翌年以後3年間持ち越せる「繰越控除」の仕組みがあります。でも、仮想通貨の雑所得にはこの仕組みがありません。

今年100万円損して、来年100万円の利益が出た場合でも、来年は100万円の利益に対して税金がかかります。ここは本当に誤解が多いところです。

例えば、給与の課税所得が400万円の会社員が、2026年に50万円の損失、2027年に50万円の利益を出したとします。2027年の利益50万円はそのまま所得になり、所得税・復興特別所得税・住民税で約15万2,000円の税金が増える計算です(各種控除の増減は考えない概算)。

2年間を通せば儲けはゼロなのに、税金だけがかかる。これが今の雑所得の仕組みなんです。

改正で3年間の繰越控除が新設される見込み

令和8年度税制改正で、特定暗号資産を国内の暗号資産取引業者を通じて売った場合は、税率20%の申告分離課税になることが決まりました。あわせて、控除しきれない損失を一定の要件の下で翌年以後3年間繰越控除できる制度も新設されます。

ただし、適用開始日は金商法等の改正法の施行日しだいで、まだ確定していません。2028年1月からが有力と見られている段階です(2026年10月時点)。

改正後の繰越控除で押さえておきたいこと
  • 対象は特定暗号資産を国内の業者経由で売った場合に限られる
  • 海外取引所やDeFiでの取引は対象外となる設計
  • 適用開始日より前の年の損失は、今の制度どおり持ち越せない

2026年分・2027年分の損失は、今の制度のままです。改正の詳しい中身は 仮想通貨の分離課税20%はいつから? で解説しています。

損失だけの年は確定申告が必要?

その年の仮想通貨の損益がマイナスだけなら、仮想通貨の所得はありません。会社員なら、仮想通貨のために所得税の確定申告をする必要はないのが一般的です。

損失を申告しても、繰越も給与との相殺もできないので、所得税が戻ってくることはありません。『マイナスを申告すれば還付があるかも』と期待しても、残念ながら税金は戻らないんです。

一方で、次のような場合は申告や確認が必要です。

損した年でも確認したいこと
  • 同じ年に別の銘柄で利益が出ていないか(合計がプラスなら申告が要る場合がある)
  • 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするか
  • 住民税の申告について、お住まいの市区町村の案内はどうなっているか
  • 取引履歴や年間取引報告書を保存しているか

年間取引報告書や取引履歴は、損した年の分も残しておきましょう。あとで計算を見直す時に必要になることがあります。

ハッキングや詐欺で仮想通貨を失った場合は、扱いが違ってきます。ハッキング・紛失・詐欺で仮想通貨を失った時の税金 で確認してみてください。

銘柄が多くて損益の合計がよく分からない、仮想通貨FXや海外取引所も使っていたという方は、自分で計算するのが難しくなりがちです。仮想通貨に詳しい税理士に相談するのも一つの方法です。

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よくある質問

仮想通貨の損失は給与所得と相殺できますか?

できません。仮想通貨の損失は雑所得の損失で、給与所得などとの損益通算の対象外です。

仮想通貨の損失は翌年に持ち越せますか?

今の制度ではできません。令和8年度改正で3年間の繰越控除が新設されますが、適用開始日は未確定で、対象も特定暗号資産を国内の業者経由で売った場合に限られます。

含み損がある場合も確定申告で申告できますか?

含み損は売却や交換で確定するまで損失になりません。持っているだけの値下がり分は、その年の所得の計算に入りません。

損失だけの年は確定申告が必要ですか?

仮想通貨の損益がマイナスだけなら、会社員は仮想通貨のために確定申告をする必要はないのが一般的です。損失を申告しても税金は戻りません。住民税の扱いは市区町村に確認しておくと安心です。

仮想通貨FXの損失と現物の利益は相殺できますか?

仮想通貨FXの損益も総合課税の雑所得です。ただ、取引の内容によって扱いが変わることもあるので、迷う場合は税務署か税理士に確認してください。

まとめ

この記事の要点
  • 同じ年の仮想通貨の利益と損失は合計して所得を計算できる
  • 仮想通貨の損失は、給与・株・FXの所得とは相殺できない
  • 今の制度では損失を翌年以後に持ち越せない
  • 含み損は売るまで確定しないので、相殺したいなら年内に確定させる
  • 損失だけの年は、仮想通貨のための確定申告は通常不要
仮想通貨の税金ナビ

仮想通貨の税金ナビ 編集部

仮想通貨(暗号資産)の税金・確定申告・相続について、国税庁などの公表資料をもとに分かりやすく整理している情報サイトです。 公式サイト

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