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家族が亡くなり、遺品のスマホや通帳から仮想通貨を持っていたことが分かった。『これにも相続税がかかるの?』と戸惑う方は多いはずです。
結論から言うと、仮想通貨(暗号資産)も預金と同じように相続税の対象です。亡くなった日の取引価格で評価し、遺産全体が基礎控除を超えれば相続税がかかります。
この記事を読めば、仮想通貨の相続税の評価・税率・期限と、相続の後に売った時の税金までひと通り判断できます。
仮想通貨も相続税の対象|亡くなった人の仮想通貨はどうなる?
この記事は、2026年10月時点の法令・国税庁の公表資料をもとにまとめています。
ビットコインなどの仮想通貨は、法律上は「暗号資産」と呼ばれます。国税庁のFAQでは、暗号資産を相続や遺贈で取得した場合は相続税の課税対象になると明記されています。
『形のないデジタルの資産だから、相続とは関係ないのでは?』と思うかもしれません。ただ、取引所の口座に残っているビットコインも、自分で管理するウォレットに入っている仮想通貨も、亡くなった人の財産であることに変わりはないんです。
- 仮想通貨は相続税の課税対象になる
- 評価額は、原則として亡くなった日の取引価格
- 遺産の合計が基礎控除を超えた時だけ相続税がかかる
- 相続税とは別に、亡くなった年の所得税(準確定申告)や、相続人が売った時の税金もある
まずは、仮想通貨の相続で関わってくる税金を一覧で見てみましょう。
| 税金 | だれが払う | いつ | 対象になること |
|---|---|---|---|
| 相続税 | 相続した人 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 | 仮想通貨を含む遺産全体が基礎控除を超えた時 |
| 所得税(準確定申告) | 相続人が亡くなった人の代わりに | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 亡くなった年に仮想通貨の売却などで利益が出ていた時 |
| 所得税・住民税 | 相続した人 | 売った年の翌年の確定申告 | 相続した仮想通貨を売ったり交換したりして利益が出た時 |
| 贈与税 | 生前に受け取った人 | 受け取った年の翌年 | 生前に仮想通貨をもらい、1年間の合計が110万円を超えた時 |
「4か月」と「10か月」が混ざりやすいので注意しておきましょう。4か月は亡くなった人の所得税、10か月は相続税の期限です。
相続そのものは、亡くなった人に所得税がかかる取引ではありません。国税庁のFAQでは、相続人への相続・包括遺贈・相続人への特定遺贈などで仮想通貨が移っても、亡くなった人の側で売ったのと同じ扱いにはしないとされています。
一方で、相続人以外の人に遺言で仮想通貨を渡した場合は、亡くなった人の側で時価による所得の計算が必要になることがあります。遺言で家族以外に渡す予定がある方は、事前に専門家に確認しておくと安心です。
仮想通貨の相続税評価はいくら?亡くなった日の取引価格
相続税を計算するには、まず仮想通貨がいくらの財産なのかを決める必要があります。値動きが大きいので『いつの価格を使うの?』と迷いますよね。
国税庁のFAQでは、評価の方法を次のように分けています。
| 仮想通貨の種類 | 評価の方法 |
|---|---|
| 活発な市場がある仮想通貨(ビットコインなど取引所で十分に売買されているもの) | 相続人が取引している取引所が公表する、課税時期(亡くなった日)の取引価格 |
| 活発な市場がない仮想通貨 | 売買の実例や詳しい人の意見などを参考に、内容や取引実態をふまえて個別に評価 |
「活発な市場がある」とは、取引所や販売所で十分な数量・頻度で取引され、価格の情報が続けて出ている状態のことです。
- 取引所が発行する残高証明書に書かれた取引価格を使ってよい
- 販売所で「買う価格」と「売る価格」が出ている場合は、売る価格で評価してよい
- 複数の取引所で取引している場合は、相続人が選んだ取引所の価格でよい
ここが大事なところです。評価の基準は「亡くなった日」なので、その後に価格が下がっても、相続税の評価額は亡くなった日の価格のままなんです。
例えばこんな場面です。亡くなった日にビットコインが1,000万円分あり、申告の準備をしている間に700万円まで値下がりした。それでも相続税の計算では1,000万円の財産として扱います。
評価のくわしい考え方や「おかしい」と感じやすいポイントは、仮想通貨の相続税評価で詳しく紹介しています。

仮想通貨の相続税の税率は?基礎控除と計算例
仮想通貨だけに特別な税率があるわけではありません。預金や不動産などと合わせた遺産全体に、相続税の税率がかかります。
まず基礎控除を超えるかを確認
相続税には基礎控除があり、遺産の合計がこれ以下なら相続税はかかりません。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人が3人なら4,800万円、2人なら4,200万円です。仮想通貨が値上がりしていて、預金と合わせると基礎控除を超えていた、ということもあります。まずは遺産の合計を出してみてください。
相続税の税率(速算表)
基礎控除を超えた部分(課税遺産総額)を法定相続分で分け、それぞれに次の税率を当てはめます。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の最高税率は55%です。所得税の「最大約55%」と数字が似ているので、混同しないようにしましょう。
- 仮想通貨・預金・不動産などの遺産から、債務や葬式費用を差し引く
- 基礎控除を引いて「課税遺産総額」を出す
- 課税遺産総額を法定相続分で分け、速算表で税額を出して合計する(相続税の総額)
- 相続税の総額を、実際に相続した割合で各人に分ける
- 配偶者の税額軽減などの控除を差し引く
計算例1:子2人が仮想通貨と預金を相続
前提:遺産は仮想通貨5,000万円と預金3,000万円の合計8,000万円。相続人は子2人。債務・葬式費用や生前贈与はなく、概算の目安です。
- 基礎控除:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
- 課税遺産総額:8,000万円から4,200万円を引いて3,800万円
- 1人あたりの法定相続分:3,800万円÷2=1,900万円
- 1人あたりの税額:1,900万円×15%から50万円を引いて235万円
- 相続税の総額:235万円×2人=470万円
計算例2:配偶者と子2人が相続
前提:遺産は仮想通貨2,000万円と預金4,000万円の合計6,000万円。相続人は配偶者と子2人。概算の目安です。
基礎控除は3,000万円+600万円×3人で4,800万円です。課税遺産総額は1,200万円になります。
法定相続分で分けると、配偶者が600万円、子が300万円ずつです。税額は配偶者60万円、子30万円ずつで、相続税の総額は120万円になります。
配偶者は、相続した正味の遺産が1億6千万円か法定相続分のどちらか多い額までなら相続税がかかりません。ただし、この軽減を使うには相続税の申告書を出す必要があります。『税額がゼロだから申告しなくていい』とはならない点に気をつけてみてください。
なお、配偶者・親・子以外の人が相続する場合は、相続税額が2割加算されます(代襲相続人の孫は除く)。
110万円の贈与と相続税の関係
「生前に110万円ずつ仮想通貨を渡しておけば、相続税は関係ない」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
110万円は贈与税の基礎控除で、相続税の基礎控除ではありません。しかも、亡くなる前の一定期間に受けた贈与は、110万円以下でも相続税の計算に足し戻されます。
| 亡くなった日 | 相続税に足し戻す贈与の期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 亡くなる前3年以内 |
| 2027年1月1日から2030年12月31日まで | 2024年1月1日から亡くなった日まで |
| 2031年1月1日以後 | 亡くなる前7年以内 |
もうひとつの注意点は、仮想通貨を贈与した側の所得税です。個人に仮想通貨を贈与すると、渡した人は贈与した時の時価で所得を計算することになります。生前の渡し方は仮想通貨の贈与税や仮想通貨の生前対策で確認してみてください。
ここまで読んで『自分の家族の場合、いくらになるのか分からない』と感じた方も多いはずです。不動産や預金も含めた遺産の評価、配偶者の軽減を使う分け方まで考える必要があるからです。
遺産に高額の仮想通貨がある方、自分で管理するウォレットや海外の取引所を使っていた方、相続人どうしで分け方を話し合う必要がある方は、相続税にくわしい税理士に任せることも考えてみてください。
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相続税のほかにかかる税金|準確定申告と売った時の税金
仮想通貨の相続では、相続税のほかに所得税が関わる場面が2つあります。ここを見落とす方が意外と多いんです。
亡くなった年の利益は準確定申告
亡くなった人が、その年に仮想通貨を売ったり交換したりして利益を出していた場合です。この所得は、相続人が代わりに申告します。これを準確定申告といいます。
期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。相続税の10か月より短いので、先に取引履歴を確認しておきましょう。
仮想通貨の利益は原則として雑所得で、給与などと合算して税率が決まります。全体の仕組みは仮想通貨の税金とはで確認できます。
相続した仮想通貨を売った時の税金
相続した仮想通貨を売ると、売った人の雑所得として所得税・住民税がかかります。ここで気になるのが、利益を計算する時の取得価額です。
国税庁のFAQでは、相続で取得した仮想通貨の取得価額は、亡くなった人が選んでいた評価方法で計算した金額を引き継ぐとされています。相続税の評価額(亡くなった日の取引価格)ではありません。
- 相続税は、亡くなった日の取引価格で評価した金額にかかる
- 売った時の利益は、亡くなった人がもともと買った時の取得価額から計算する
- そのため、亡くなる前に値上がりしていた分にも、売った時に所得税がかかる
『相続税を払ったのに、同じ値上がり分にまた税金?』と感じますよね。2018年の国会でもこの点が質問され、土地などにある「相続税額を取得費に加える特例」は、雑所得の仮想通貨には設けられていないと答弁されています。
取得価額の引き継ぎ方は総平均法と移動平均法の違い、二重課税の疑問は仮想通貨の相続税評価でくわしく紹介しています。

パスワードが分からない・口座が見つからない時は?
仮想通貨の相続で一番困るのが、ログイン情報が分からないケースです。『パスワードが分からず取り出せないなら、相続税もかからないのでは?』と考えたくなりますよね。
ただ、2018年3月の参議院財政金融委員会で、国税庁次長は「相続人がパスワードを知らなくても、仮想通貨を承継するので相続税の課税対象になる」という解釈を答弁しています。パスワードを知っているかどうかは本人にしか分からず、真偽を判定できないからです。
国会答弁で示された解釈では、パスワードを知らないことを理由に相続税の課税対象から外れるわけではありません。財産として把握できたものは、評価して申告の対象に入れておきましょう。
取引所の口座なら、取引所に連絡して相続の手続きを進めるのが基本です。自分で管理するウォレットは、秘密鍵や復元用の言葉が見つからないと取り出せないこともあります。
- スマホやパソコンに入っている取引所やウォレットのアプリ
- メールの受信箱(取引所からの通知、年間取引報告書のお知らせなど)
- 銀行口座の入出金履歴(取引所への入金や出金)
- 過去の確定申告書の控え
- 紙のメモや手帳、金庫の中の記録
探し方と、見つからない時の対応は故人の仮想通貨のパスワードが分からない時の相続にまとめています。
仮想通貨の相続手続きの流れと期限
最後に、亡くなってから相続税の申告までの流れを見ておきましょう。仮想通貨があると、ふつうの相続より調べることが増えます。
- 仮想通貨を持っていたかを調べる(アプリ・メール・入出金履歴など)
- 取引所に連絡し、残高証明書など評価に使う資料を取り寄せる
- 借金などもふくめて遺産の全体をつかみ、相続するか放棄するかを決める
- 亡くなった年の利益があれば、4か月以内に準確定申告
- 遺産の分け方を相続人で話し合う
- 遺産が基礎控除を超えれば、10か月以内に相続税を申告・納付
| 手続き | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内 | 亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所 |
| 準確定申告 | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 亡くなった人の住所地の税務署 |
| 相続税の申告・納付 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 | 亡くなった人の住所地の税務署 |
相続税の期限が土日祝日にあたる場合は、その翌日が期限になります。例えば1月6日に亡くなった場合、相続税の申告期限は11月6日です。
仮想通貨が値下がりしていて借金のほうが多そうな時は、相続放棄も選択肢になります。調査が終わらず3か月で判断できない場合は、家庭裁判所に期間を延ばす申立てもできます。くわしくは含み損・値下がりした仮想通貨の相続と相続放棄をご覧ください。
取引所での具体的な進め方は、仮想通貨の相続手続きで順番に解説しています。
相続の手続きの方法や必要書類は、取引所ごとに違います。当サイトはどの取引所の公式サイトでもないため、各社の手続きは会員ページや問い合わせ窓口で確認してみてください。

仮想通貨の相続は、評価・準確定申告・相続税の3つが同時に進むので、ひとりで抱えると負担が大きくなりがちです。遺産の総額が基礎控除を超えそうな方や、亡くなった年にも取引があった方は、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
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よくある質問
仮想通貨の相続税の税率は何%ですか?
仮想通貨だけの税率はなく、遺産全体に相続税の速算表の税率(10%から55%)がかかります。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下なら相続税はかかりません。
ビットコインは相続税でいつの価格で評価しますか?
活発な市場があるビットコインは、相続人が取引している取引所が公表する、亡くなった日の取引価格で評価します。取引所の残高証明書の価格や、販売所の売却価格を使うこともできます。
亡くなった後に仮想通貨が値下がりしたら、相続税は減りますか?
相続税の評価は亡くなった日の価格で決まるため、その後の値下がりで評価額は変わりません。
相続した仮想通貨を売ったら税金はかかりますか?
売った年の雑所得として所得税・住民税がかかります。取得価額は亡くなった人の評価方法で計算した金額を引き継ぎます。
仮想通貨の相続税の申告期限はいつですか?
亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。亡くなった人の所得税の準確定申告は4か月以内なので、混同しないようにしましょう。
まとめ
- 仮想通貨(暗号資産)も相続税の課税対象になる
- 評価は原則として亡くなった日の取引価格で、その後の値下がりは反映されない
- 相続税は遺産全体が基礎控除を超えた時にかかり、税率は10%から55%
- 亡くなった年の利益は4か月以内に準確定申告、相続税は10か月以内
- 相続した仮想通貨を売ると、亡くなった人の取得価額を引き継いで雑所得を計算する
- パスワードが分からなくても相続税の対象になるという国会答弁がある
仮想通貨の税金全体は仮想通貨の税金とはで確認できます。




